次世代にどうつなぐか

本日付の朝日・産経などで中国の次期最高指導者の顔ぶれに関する記事が掲載されていた。習近平総書記は国の将来を考えて次世代リーダーを最高首脳陣(政治局常務委員)に入れるという発想ではなく、忠誠心重視で選ぼうとしているため、肝心の世代交代が進みそうにないとの観測をまじえている。私見だが、世代交代が進まないということは、習近平という権力者の目先の政権運営のためには有効かもしれないが、国家の将来を考えた場合は不利益につながりかねないということを意味する。この組織ジレンマは日本でも多くの団体が抱えている。たとえば自民党だ。安倍政権は目先の政権維持を第一にしたがゆえに、多くのウソとゴマカシを常用しただけでなく、党内で次世代の指導者層を育成する機運が手薄になった。それが現在の閉塞した政治状況につながっている。一方でそれを糾弾する急先鋒の日本共産党も、志位委員長のトップ在任期間はすでに22年を数える。これも私見だが、同党がいまも党として存続できるのは宮本顕治というかつての指導者の「先見の明」というべきで、現在はその遺産で食べているにすぎない。不破哲三兄弟と志位和夫を適切なタイミングで最高指導陣に引き上げ、活躍の舞台を提供し、必要な経験を行わせたのは宮本元議長の先見の明に感じられる。ただし宮本氏のようなカリスマ型リーダーは、一代限りで終わるのが通例だ。いまから同党は急速に下降路線を強めるか、あるいは存続傾向がつづくのかの瀬戸際にある。

同じことは公明党にもいえる。今回の党大会で代表は交代することなく、世代交代の時期を先送りし、目先の「安全運転」を重視した。これが公明党の将来にとってプラスとなるかどうかは全く見通しがつかない。どの組織にもいえることは、組織創設の第1世代は若くして多くのことを経験し、経験値も高いのに比べ、組織が一定程度できあがると、最高指導層が高齢化しがちで、世代交代の流れが緩くなることだ。現在の中国も、日本の老舗政党もその状況が顕著だ。そんな中にあって、将来像を明確に見据え、現在において的確に手を打てる組織だけが、生き残りの可能性を強くするということだろう。「老害」にあふれた組織団体は衰退するのも早い。一般的にはそのように思われるが、あとは結果オーライとなるのだろうか。

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