浜四津敏子が掲げたヒューマニズムの政治

かつて公明党が将来は新進党という新政党に加わることを視野に入れながら、衆院議員と参院議員+地方議員を分党した時代があった。このとき参議院議員として代表を務めたのがまだそれほど長い経験をもっていたとはいえない東京都選出の浜四津敏子参院議員であった。打ち出す主張はどちらかというと理念的なものも含まれ、「ヒューマニズムの政治」を堂々と標ぼうした。歴代の公明党党首の中でこのような主張を行った例を私は知らない。もともとこうした理念の呈示があったのは、浜四津代表(当時)が池田名誉会長の思想を学ぶ中で出て来たものであったことは明白で、それはそのまま支援団体の宗教理念(仏法理念)に根ざしている。むしろ古参の公明政治家は、そうした主張を青臭いものとして受け取っていた側面もあった。彼女が創価学会の婦人層から厚い支持を受けたのは、平和や人権といった普遍的な主張に潔癖さをもつことを信頼した面もあったからだと感じる。要するにブレない。最近の同党にはそうした潔癖さは感じられない。それは与党にいる限り、無理な注文という人もいるだろう。だが政治の根幹に「ヒューマニズム」を据えたそのささやかな試みは、党の歴史の中では一つの功績であったと個人的には感じる。社会の基盤となる「政治」に、どこまでヒューマニズムの精神を根付かせることができるか、それは政治家としての戦いであり、常に挑戦であると感じるからだ。

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