破綻済みの日本共産党理論

共産党の志位和夫委員長の名前で15日に発刊された『新・綱領教室』(上・下)がすぐに「完売」となり、増刷まで2週間ほどかかる見込みのようだ。共産党直轄書店の話によると、今月中は無理らしい。なぜこの本が注目されるのか、あるいは初版部数があまりに少なかったのかその理由は知らないが、同書の内容は本日付の「しんぶん赤旗」からも容易にうかがえる。志位氏は学生とオンラインで社会主義をテーマに話した中で、マルクスの『資本論』について「すごいことだらけ」と翼賛し、「法則を明らかにした」などと述べている。同党の歴史をみれば、その法則はもともとロシアやその後のソ連が最初に始めたものであり、つづいて戦後は中国、北朝鮮などが続いた。それらの3カ国を日本共産党は「地上の楽園」であるかのようにアカハタ紙面で昔は喧伝していたが、いまではいずれも「社会主義ではない」などと都合よく言い出して久しい。学生とのオンラインゼミで志位氏は、旧ソ連や中国について「出発点の遅れ」「指導者の誤り」の問題を学生らに示したというが、具体的な理由として、これら2つの国には「まともな議会が存在しなかった」ことを挙げている。逆に日本にはそれがあるので日本の共産党は失敗しない!と自ら主張することに目的があるようだが、「科学的法則」を自らうたう思想なり制度が、かくも簡単に右顧左眄する状況はマヤカシに満ちている。現在の中国は自らを「特色ある社会主義」と規定するが、日本共産党は「あれは社会主義ではない」という。だがもともとはコミンテルンという名の同じ組織から生まれた「兄弟党」だ。同じ組織から生まれた2つの政党の分岐点を、中国には「まともな議会が存在しなかった」からなどの理由で説明するのは無理がある。本来、「科学的法則」であれば、そんな違いは簡単に乗り越えてしかるべきだろう。万有引力という自然の法則に何ら例外はないように、科学的法則を称するのであれば、例外を、「後だし」で用いてはならない。日本共産党の理論はこのように、完全に破たんしている。

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