未来志向の前提条件

日韓関係で個人的に印象深いのは、1998年日本が小渕首相の時代に、韓国の金大中大統領が来日し、日本の国会で演説を行ったことである。過去の不幸な関係を乗り越え、「未来志向」の二国間関係が形成される時代に入ったように思えた瞬間だった。当時は21世紀になれば、朝鮮半島の分断もいずれは解消され、冷戦構造も跡形もなく消えうせ、平和な世紀に移行するという「夢想」を抱いていた。それから四半世紀たってみて、なんら状況は好転していないどころか、むしろ悪化していることに愕然とする。軍事偏重の世相が高まり、アジア全体で軍事拡大の波が押し寄せる。いやまして、「挑戦」と「応戦」の関係の重要性に思い至る。結論として、「応戦」の努力があまりに非力なのだ。とはいえ、現実は現実だ。日本が行うべきは、靖国神社発の「開き直り」の歴史観を捨て去り、過去の歴史を事実ベースで真摯に捉え、自国民を教育啓蒙することが先決だ。その点が中途半端なまま来ており、それなくして未来志向の友好を近隣諸国との間でつくる前提は成り立たないと思われる。

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