自分のことしか考えない「核共有」論者たち

米国の核兵器を共同運用する核シェアリングを突然言い出したのは安倍晋三元首相と認識しているが、これにいったん追随する姿勢を見せた高市早苗自民党政調会長は「核兵器の共有を想定した自衛隊法になっていない。現実的には難しい」との認識を示している(時事通信3月9日)。にもかかわらず、核共有を躍起になって主張する門田隆将のような商売右翼(=ビジネス保守)もいる。だがこうした主張は自分のことしか考えておらず、東アジアへの波及、さらには世界における日本の立ち位置を何ら理解していないものと呆れられている。ピースボートの川崎哲共同代表は「日本の政治家が核抑止力についてメッセージを出せば、東アジアで軍拡競争が起きる」(琉球新報3月7日付)と警鐘を鳴らすほか、すでにアジアの軍拡が顕著になっている現在にあって、核拡散への歯止めのないスタートとなることを心配する声が多いのだ。逆に「日本は『核保有国と非核国の架け橋』として『核の先制不使用』を先導すべきだ」(沖縄タイムス3月4日)と主張するのは元防衛庁背広組の柳沢協二・元内閣官房副長官補だ。翻って「核共有」を主張する者たちの多くは、「先の戦争は正義の戦争であった」との靖国神社史観にかぶれている人間とそのまま重なる。あのときも自分たちのことしか考えていない人間たちが日本を破滅に追いやったが、第三者からすると、彼らは同じことを繰り返しているようにしか見えない。

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