日本は赤くない

昨日の読売新聞に『赤い日本』と題する大がかりな書籍広告が掲載されていた。キャッチコピーには「このままでは日本は『韓国』になる」「これが中国の代弁者だ」などの文字が躍る。常に上から目線で周辺国を見下し、「韓国」はまるで劣等国の代名詞のように使われている。著者は櫻井よしこ。「南京虐殺は濡れ衣」などの政治的主張で知られ、歴史の真実よりも自らの心情やプロパガンダ(靖国史観)が優越してしまう人物だ。同じ日、日経新聞には「防衛費 まさかの日韓逆転」というコラムが掲載されていた。櫻井の言うように韓国は見下すような対象ではなく、実際は防衛費ひとつとっても日本を逆転しているとの指摘である(私は日本の防衛費を増やせと言っているわけではない)。韓国はすでにいくつかの面で日本を超えている。さらに冒頭の本のコピーには「中国非難の国会決議に反対の公明党」という文字もある。公明党の理念には、異なる意見を「敵」とみなすような偏狂な思想は存在しない。言えることは、とにかく「粗雑な倫理」を振り回しているだけの姿である。中国を非難しない日本は「赤い日本」などと煽るこの種の論法が、最近の日本ではとみに増えた。要するに、大衆の感情に訴える手法だ。事実の積み重ねよりも「煽る」現実。そのほうが本の売り上げに貢献するようだ。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。