住民土着型政党

公明党が政権離脱をかけて安倍首相に迫ったとされる給付金10万円問題。珍しく同党がイチかバチかの賭けに出たのはまぎれもなく支持者からの無数の声に支えられたものであったことは明らかだ。当初案の困った人への30万円だけでは、そこに入らない人との「分断」が生じてしまう。そうした懸念や個々の声が集積され、「このままでは次の選挙は戦えない」との切迫感が、同党の行動を促した。一方、現在ツイッター上などで盛んに問題視されている検察幹部の任期を内閣の意向により特例的に延長することを盛り込んだ法案は、一般住民の身の上とは直接的には何ら利害関係がない。そのためこの問題では、公明党に対し、住民からの下からのクレームはほとんどないはずだ。公明党はいうなれば、「市民型政党」ではなく、「住民土着型政党」であることの証左ともいえる。現在、検察幹部の定年延長問題に関心をもつのは、この国の形をどう変えるのかといった理念的な思考をする人たちで、公明党の大半の支持者とはリンクしないと思われる。そのため同党の腰は、10万円問題よりも明らかに「重いもの」となるのだろう。だが公明党には、法曹出身者が多くいる。事の本質はすでにわかっているはずだ。難しい局面ととらえているのかもしれないが、目先の利害だけでなく、「法治国家」という政治の本質的な側面から考えていただきたい。この法案に無意味に賛成し、後世に禍根を残すことはやめてほしい。

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