庶民の心に寄り添う

沖縄では伝説的な足跡を残している瀬長亀次郎に関する2作目の最新映画『不屈の生涯』を見た。本人の日記をもとに構成しているので、1作目に比べ、地味な印象を受けた。映画のメインテーマは、米軍の圧政にひるむことなく立ち向かった一人の男の信念を描いている。それがいまの沖縄の状況にそのままかぶさるので一定の関心を集めるわけだろう。半面、映画では瀬長の「裏の顔」にはまったく触れられないし、紹介されることもない。それは当人の共産主義者としての側面であり、実際は24歳で日本共産党に入党していたにもかかわらず、その事実をひた隠しにし、那覇市長に就任してからも、市議会の答弁などにおいてもその事実をけっして認めようとしなかった。要するに、那覇市民に自身の政治信条についてウソをつき続けた。政治家としては、不誠実そのものと非難されても仕方ない。ただ付言したいことは、この政治家が、どこまでも沖縄県民(庶民)の心に寄り添い、そのために自身の身命を惜しまなかったことだ。現在の日本政界には、そのような庶民派の力ある人材が見えなくなって久しい。

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