「汚い首を斬る」発言について

中国の大阪総領事の発言が外交問題に発展した。発端は高市首相の初めての予算委員会審議で飛び出した存立危機事態に関する首相答弁だ。ここで高市氏は台湾海峡で中国が武力行使した場合、存立危機事態に該当する旨表明し、中国政府や関係者の反発を受けたのが真相だ。つまり、発端は高市首相側にある。中国政府の“尖兵役”となったのが大阪総領事で、次のようにXで発信した。「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか」。首を斬るという表現が、現在の平和ボケした日本では不穏当に聞こえるため、日本側の大反発を招いたわけだが、日本がこの160年間、中国に何をなしてきたかをある程度、等身大で感じている人間が見れば、あるいは中国の立場に自分の身を移し替える余裕のある日本人からすれば、特に大きな違和感を感じない人もいるかもしれない。つまるところ、かつて日中戦争中、罪のない多くの中国人の首を斬り落としてきた張本人は、旧日本軍、つまり天皇の軍隊であったからだ。いまの日本人はそのような歴史的経緯をすっぽりと忘れているか、必要最低限の歴史教育をなされていないので、方向外れの反発をしているようにも私には思える。ましてこの大阪総領事が11月初旬に創価学会関西青年部主催の講演会で講演したいたとかで、創価学会や公明党までが糾弾の対象とされている。この総領事は日頃は普通のまともな感覚の持ち主のようだが、今回は、中国政府の“尖兵役”として確信犯的に行動したのだろう。日本社会を含む民主主義社会において言葉に適切性を欠いていたことは明らかだが、日本が過去に行った幾万もの非道な行為に鑑みれば、日本側が短絡的に「追放せよ」と言える問題ではないように感じる。双方とも、冷静になっていただきたい。繰り返すが、責任の発端は高市首相側にあり、日本側がこの問題で“勝てるケンカ”の構造とはなっていない。

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