敗戦記念日となる本日の全国紙面は特色が分かれた。編集幹部の熱量がそのまま紙面に表れた形だ。通常のルーティーン的な特集という印象を受けたは朝日、読売、産経。一方で並々ならぬ熱量で紙面をつくったことが明らかに見えたのは毎日新聞だった。私は6大紙の最初に必ず毎日から手を取るようにしているが、それは偶然としても、紙面の量(ページ数)、現代世界に結びつける独自の角度、村山談話起草者などのインタビュー対象の人選など、他紙とはまったく次元の異なるものだった。さらに1面では同社主筆が文章を掲載し、次の言葉で締めくくる。
「私たちは偏狭なナショナリズムをあおった教訓を胸に刻み報道を続ける。今を戦間期にせず、『戦後』を続けよう。まずは100年を目指したい」
戦後100年といえばこれから20年後。私はあまり生きている自信がないが、80歳となっている。現実性のある未来だけに、それまでは絶対に戦争をすることは止めようとの新聞社としての意思表明といえる。新聞は「個性ある新聞」だけが生き残ると思っているので、毎日にはぜひ頑張ってほしいと願うばかりだ。1987年毎日新聞社の入社試験のとき、岩見隆夫氏だけが私に面接で質問をぶつけてきたことをふと思いだしたりした。これから20年、日本が戦争しない、巻き込まれないために、わずかながら微力を捧げる決心だ。