妄想に生きる時代

戦後80年の8月、敗戦時を知る人はすでに当時子どもだった人に限られる時代となった。そのため身近な家族関係などの話ができる人にとどまるとの指摘をしたのは本日付毎日新聞に登場した加藤聖文教授(駒沢大学)だ。今回の参院選では南京大虐殺を否定する日本保守党党首の百田尚樹が当選したほか、参政党の当選者も同じ主張を行った。自民党にも同じ主張をする人間がまぎれている。この問題は安倍元首相が同様の認識をもっていたため、2012年の第2次安倍政権の発足以来、公明党にとっても「タブー」に近い事柄となってきた。私がいい加減、安倍政権のくびきを離れよと主張するのはそのためだ。戦後80年のこの時期、日本ではまともな歴史教育は行なわれておらず、なぜあの局面でそのような事件が起きたのか、1000万人以上が殺害された日中戦争で、南京大虐殺の数万人規模の殺害がなぜクローズアップされるのか、など伝えるべきことがたくさんある。なぜクローズアップされるのかの答えをいえば、いまも南京大虐殺の事実を認めない日本人が一定数存在するため、中国にいいように“利用”されているというのが実態だ。このままでは戦後100年たっても同じ状態が続く。現実政治が考えるべきことは、歴史教育をいかに正しく定着させるかという一点に尽きる。日本人はいずれ同じことを繰り返す。その防波堤となるのは、未来を見通した“本物の政治”の所作にほかならない。

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