現在、日本の外国人比率は全体のわずか3%にすぎない。諸外国では2ケタが普通なのでそれに比べればとても低い。にもかかわらず、今回の選挙で外国人政策(正確には外国人ヘイト政策)が争点となるのは、日本の島国根性気質を背景にしている。要するに、この社会はよそ者を排除しようとする精神作用が強いということだろう。今後、この比率は10%に向けて増えつづける。そのとき必要なことは、公正な社会的システムの構築と同時に、開放的な個々の精神性だ。そうした教育的作用が日本社会はたぶんに低いと思われる。文化が異なることから生じる軋轢はむしろ当然のことであり、地域社会の調整能力こそが問われる。また難民として日本に助けを求めてくる人たちには当初からビザなどない。法律的には非正規登録外国人となるが、こうした人たちに「不法」というレッテル貼りをやめようというのが国連の見解だ。日本人の中にはそうした背景を理解していない人があまりにも多い。「共生社会」をつくるのは、実際は相手の問題というよりも、むしろこちら側、自分自身の心の問題だ。今後も外国籍住民との日本社会の 関係はますます太くなることはあっても、切れることはない。多民族化がさらに進む社会の中で求められるのは、世界市民的精神性と、メリハリの効いた人道的見地からの方針だ。異なるものは排除せよといった偏狭な精神性であっては、社会は混乱するばかりである。