12年前の安倍政治を断罪した最高裁

2012年12月、安倍晋三が2度目の自民党総裁に返り咲いた後の最初の衆院選で、自民党は「生活保護費の1割カット」を選挙公約に掲げ、政権に復帰した。その結果、その政策実行は第2次安倍政権の規定路線となり、弱者である生活保護費受給者の生存権を脅かす政策に平然と手を染めた。その政策に異議を申し立てた訴えの最高裁判決が昨日、言い渡された。最高裁は安倍政権の政策を「違法」と断罪し、減額を取り消す判決を言い渡した。とはいえ、本日付の朝刊各紙は「安倍政権の責任」を見出しに掲げた新聞は一つも見当たらない。いまだに忖度しているのかと言いたくもなるが、当然、政策の結果責任を負うのは公明党も同様だ。ただし当時は“政権奪取”の当初の時期であり、勢いのある安倍政権のスタートにあって、公明党の発言権はかなり小さかったと推察される。直接の責任者は当時の山口代表となるだろうが、だれが代表であっても正論が通じたかどうかは疑わしい。さて、今回の参院選だが、自民党は「違法外国人ゼロ」の公約を打ち出した。私には13年前の「生活保護費の1割カット」と同様、間違った公約に思える。なぜなら日本人に同じことを言えるかどうか考えてみればわかりやすい。「違法日本人ゼロ」はそのまま、犯罪者ゼロを意味する。それを外国人だけに求めたところがすでに差別そのものだ。さらに在留資格の意味でそう書いているのであれば、それは刑法犯と行政犯のごちゃまぜでしかない。日本人だって、他国に滞在した際、在留資格(ビザ)が切れる事態はおうおうにして起こりうる。それを選挙目当てで「ゼロにしろ」ということは、当人らの生存権を否定しているようなものだろう。このような人権感覚の欠落ぶりは、自民党にとって13年前もいまも何も変わっていないように思える。私にとってより重要なことは、公明党がその自民党の政策に“追随”したことだ。人道立国にはほど遠い現状と思える。

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