「サイコパスは社会の捕食者であり、生涯を通じて他人を魅惑し、操り、情け容赦なくわが道だけをいき、心を引き裂かれた人や、期待を打ち砕かれた人や、からになった財布をあとにのこしていく。良心とか他人に対する思いやりにまったく欠けている彼らは、罪悪感も後悔の念もなく社会の規範を犯し、人の期待を裏切り、自分勝手にほしいものを取り、好きなようにふるまう。彼らから被害を受けた人たちは、驚きとまどい絶望的な思いで自問する。『あの人たちはいったい何者なのだ?』『どうしてあんなことができるのだろうか?』『私たちはいったいどうやって自分を守ればいいのか?』こうした疑問は、100年以上にわたって臨床的考察や経験的な研究の焦点になってきた――そして、私の4半世紀にわたる研究の対象となってきた――けれども、サイコパスのおそろしい謎が明らかになりはじめたのは、やっとここ数十年のことだ」
邦訳『診断名サイコパス 身近にひそむ異常人格者たち』(1995年)の有名な冒頭
原著『WITHOUT CONSCIENCE』(ROBERT D. HARE, PhD, 1993年)