自分の住所にだけ「閲覧制限」をかけた櫻井よしこ

ジャーナリストの櫻井よしこが植村隆元朝日新聞記者から名誉棄損で訴えられ、からくも「逃げ切った」裁判の元となった記事について改めて確認してみた。問題となったのは「月刊WiLL」(2014年4月号)、「週刊新潮」(2014年4月17日号・10月23日号)、「週刊ダイヤモンド」(2014年9月13日号・10月18日号・10月25日号)だが、多くの記事で植村元記者の記事について「捏造記事」と断定し、さらに「WiLL」では、「植村記者が、真実を隠して捏造記事を報じた」「氏の捏造記事」「植村記者の捏造」「自らの捏造について説明する責任がある」などと繰り返し断定的に捏造と記述している。その上で、当時、植村元記者が教授として勤務することが決まっていた神戸の女子大学の名称を具体的に記述していた。

経過からいうと、こうした櫻井らの具体的な記述によって、大学側に嫌がらせが相次ぎ、植村元記者の再就職がとん挫し、札幌の別の大学に行くことになった。

この裁判で明らかになったことは、裁判所はけっして植村記者の記事を「捏造記事」とは認定していないことだ。櫻井よしこは自ら書いた記事に真実性すらないのに植村元記者本人に取材せず、「捏造記事」と断定的に決めつけて批判する行動を複数メディアにわたって繰り返した。その意味では、櫻井側は通例の裁判であれば、敗訴するのが必至だったといえる。

さらに問題は、櫻井はこの裁判で閲覧制限をかけ、自分の住所だけを秘匿していることだ。自分の身に何か不穏なことが起きることを恐れたのだろうが、櫻井が植村元記者の就職先を具体的に記述したことで、元記者の就職予定先に嫌がらせ行動が発生したのに比べ、あまりにも虫がよすぎる行動にしか見えない。

自分さえよければ、相手がどうなっても構わない。そんな根性が透けてみえてくる裁判である。

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