歴史の教訓を忘れた風潮

日本学術会議問題の本質は、日本の国家のありようの変化と関係している。もともと戦争を二度としないことを誓った状況でつくられた組織と、それから70年以上をへた現在とでは、状況が大きく変わっており、そのせめぎ合いが表面化した形にも見える。もともと戦争を二度としないという前提で発想されたこの組織は、軍事研究につながる研究にストップをかけてきたとされる。それが軍事拡大を信条にしてきた安倍政権の方向性とぶつかり、そのせめぎ合いの結果が今回露呈したということだろう。戦後まもない「日本の誓い」は、これまでことごとくなし崩し的に変容させられてきた。その強固な基礎は、第一次安倍政権時代にできた教育基本法の改正と防衛「省」昇格によってつくられたと筆者はみる。いずれも、公明党が、政権参画と引き換えにするかのように協力した過去がある。今回の問題は、どういう国家をつくるのかという国家観とも密接にからむ。そこに過去の歴史の反省というものはほとんど反映されなくなっている現状があることを強く危惧する。

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