いま日本社会を席巻しているのがこの皇国史観の亡霊たちだ。天皇を万世一系などと尊崇するあまり、過去の旧日本軍（＝皇軍）が現実に起こした非行、蛮行を事実の上から受け入れることができず、南京虐殺を否定し、慰安婦問題の罪責を過小評価する。事実を事実として受け入れることのできない小児病的姿勢は、歴史を教訓化することを妨げ、同じ過ちを繰り返す「愚」につながりかねない。産経新聞という名の新聞社が、日本の全国紙で唯一、南京虐殺を認めることができないのは、上記の背景を基盤とする。要するに、事実の上に成り立つジャーナリズムではなく、自分の夢想・空想を基盤とした自称ジャーナリズムにすぎない。この事実は、日本人および日本社会に生きるすべての人びとが認識すべき事柄だ。