電気のない生活

ちょうど27年前の今日、私はカンボジアの一つの小学校で選挙監視業務を行っていた。国連関与の歴史的な総選挙だった。国際選挙監視団に応募したら、なぜか採用され、しかもPKO要員として現地に派遣され、3日間の選挙期間中、一つの投票所を割り当てられた。小学校といっても校舎が2棟ほど、教室が計10もない小さなもので、校庭の向かい側が寺院となっていた。寺院内の高齢の住職が寝泊まりする小屋のようなところで、一緒に寝泊まりさせてもらった。稀有な体験だったと思ったのは、電気が通っていない場所だったことだ。つまり日暮れと同時に、辺りは真っ暗闇になる。ランプのようなもので住職が灯りをともしてくれたと記憶するが、自分を照らすものは懐中電灯くらいしかなかった。トイレはすぐ近くに設置されていて、落とした汚物を近くを動いている豚が寄ってきて、ムシャムシャと食べるような場所だった。その光景を最近思い出したのは、あるノンフィクション作品を読んでいて、日本のひと昔前の情景として同じような場面が描かれていたからだ。当時のことを思い出すことは最近ではもうほとんどないが、この国が無事に民主主義国家として離陸することを願っている。

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