ことし夏の参院選でとびかった外国人問題。政府与党側は「ルールを守らない外国人に厳しく対処する」と世論向けピーアールを繰り返したが、この「ルール」なる用語は欺瞞そのものだった。この場合のルールには①刑法②入管法③マナーの3種類があるが、これらをごたまぜに「ルール」とまとめることで、外国人対策のやってる感をアピールする意図があった。好ましくない外国人はいうまでもなく刑法犯であって、そのような外国人を帰国させることに異議を唱える人はいないと思う。さらに3つめのマナーの問題だが、よく出されるゴミの出し方などの生活上のルールについては、本人の問題というより、受入国側がどのような配慮の下に当事者に告知教育するかという問題であって、それをもって強制送還の要因に数えることは乱暴そのものだ。肝心は2つめの入管法だが、この法律によってビザなし外国人は「不法滞在者」と規定される。入管庁はかつてこの人数を減らすために毎年1万人の「不法滞在者」を正規化する“苦肉の策”で数を減らした過去がある。その数「5万人」だ。その結果、日本の治安が悪くなったという統計は皆無に等しい。要するに彼らは罪のない外国人をスケープゴート化することで、争点そらしを行ったにすぎない。かつて第2次安倍政権の当初に、生活保護者をスケープゴート化したのと同じ手法だった。日本の有権者は騙されないよう賢くなっていかなければならない。
