2、3日前、トランプ大統領がネタニヤフ首相と共同記者会見している映像を目にして、罪責ロンダリングという言葉が頭に浮かんだ。ジェノサイドという大きな歴史的犯罪を犯している政治家が、世界最強大国の大統領と蜜月関係をアピールすることで、国際的に攻撃・批判されにくい政治状況が生まれることを指す。このような「無秩序」とも思える状況は、やはり「人道性」という観点で原点回帰する必要を感じさせる。人間が人間であるためには、当然、「人道」という方向性でしか未来の選択肢は存在しないからだ。日本の自民党総裁選を見ていると、この面で期待できそうな候補が実は見当たらない。「哲人政治家」とは、私のイメージでは、絶対的権力を維持することもできたのに道義的にも民衆の立場的にも敢えて民主化を進めて権力を手放す結果となったゴルバチョフ大統領のような人物を指すが、自民党総裁選の5人にそのイメージの人物は存在しない。高市早苗候補は真逆の人であるし、小泉進次郎候補にはその種の「深さ」はまるで感じられない。しいていえば林芳正候補だが、現状ではそのような「哲人性」を個人的に感じたことは一度もない。それでも同候補の主張の中身を見ると、林候補の主張がもっとも理にかなっていると感じるのは私だけではないだろう。
核兵器禁止条約を批准し、死刑も廃止する。外国人とは共生するプランを立ち上げ、実現化する。日本独自の平和政策を推進し、世界のモデルとなる。私が個人的に描く哲人政治家のイメージはそのようなものだ。