官民あげた外国人イジメの国

先の参院選を見るまでもなく、外国人への忌避感情が集票道具として機能する時代を迎えている。他の先進国は外国人比率が2ケタにのぼっているが、日本はわずか3%でこうした現象が起きるようになった。島国の閉鎖性が露呈している。先般問題となった埼玉県のクルド人問題は、クルド人が自己主張をする「もの言う」外国人であるため誤解されてきた面があるが、日本人と同様に同じ感情をもった人間にほかならない。ましてこの国で難民申請を行い(ご存知のように日本は難民への門戸を事実上閉じたままの状態だ)、諸外国では万人単位で認められてきたクルド人の難民認定もほぼゼロに近い(1件だけ裁判で勝訴したクルド人に難民認定されたケースがあるが、裁判で勝訴しても難民として認められなかったケースすら存在する)現状で、事実上、門は閉じられたままだ。そこに来て反外国人感情の世論におそれおののいた政治家たちが、この世論に“迎合”する行動をとり始めた。「不法滞在者ゼロプラン」はその具体策で、裁判中であっても送り返すと宣言したこの強硬措置は、日本にいる外国人全体(正規滞在者を含む)を震え上がらせた。要するに、日本という国は外国人政策に一貫性がなく、気分次第で右に行ったり左に行ったりする信用ならない国との印象を広く振り撒く結果につながった。私が川口方面を取材して最近耳にするフレーズは、「川口にクルド人問題はない」という言葉だ。実態としてあるのは「クルド人を排斥する日本人側の問題」という認識である。私も自身の取材を通し、この認識に8割方賛成する。あくまで問われているのは日本人の側なのだ。残念なことは、本来、生命尊厳の立場から人道面に配慮する主張をすべき公明党が、自民党や入管庁と完全に歩調を合わせ、時代錯誤の政策に手を染めている現実だ。

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