仕事の関係で慰安婦に関する本を読んでいた。沖縄にも関連する。朝鮮人女性が騙されて日本軍慰安婦にされ、沖縄の渡嘉敷島に連れていかれた話である。取材執筆したのは川田文子さん、書名は『赤瓦の家』だ。同じ日、地元町会の夏祭りに顔を出すと、そこで韓国とネパールの民族的演芸が披露されているのを見た。韓国ゆかりの女性たちが太鼓を肩から下げ、叩きながら舞う民族芸能だが、こうした独自の文化に同じ日に接したためか、かつての大日本帝国がかの国にいかに非道なことをしたかがまざまざと迫って来た。結論するに、当時の日本は“狂っていた”。日本軍兵士の男たちの劣情を処理するため、詐欺的手法で連行され、強制売春をさせられた10代、20代の素人女性たち。日本人女性に要求できないことを、植民地の女性に対して行えたのは、彼女たちを日本人と同等には見ていなかったことの証左にほかならない。そんなさまざまなことが脳裏から離れず、今朝になって思ったことは、韓国にどれだけひどいことをしたかは想像力のない人間には理解できないということだ。総じて、日本社会の全体が“狂っていた”時代である。その根幹に靖國神社はあった。かの地の犠牲になった女性たちがいなければ日本軍が戦争をつづけることは不可能だったが、その日本の戦争において功績があったはずの女性らの慰霊碑は靖國には存在しない。代わりにあるのは「軍犬」「軍鳩」「軍馬」の慰霊塔である。ひどい国だ。