山口那津男元代表の政界引退が昨日の党会合で発表され、本日付各紙に掲載された。代表任期15年は竹入委員長の20年に次ぐ異例の長さだったが、15年の半分にあたる7年8カ月は第2次安倍政権時代であり、さらにその前の3年間は民主党政権で野に下っていた時代だ。つまり、山口代表の任期は民主党政権下(鳩山・菅・野田)の野党時代、さらに政権奪還後の安倍政権・菅政権・岸田政権の6政権にまたがる。本日付毎日新聞で山口氏は「私が心掛けてきたことは、他党にはない持ち味の確立だった」とあるが、安倍政権という政策的にも大きな制約がかけられた状態での独自性発揮は並大抵の苦労ではなかったはずである。憲法改正を至上命題にし、憲法9条に手をつけたい安倍首相と、「平和の党」を自負する公明党および支持団体との狭間で、フリーハンドで動ける局面は少なかったと感じる。それでも最後に同党の今後10年のプランを「平和創出ビジョン」として自ら関わりながら残した結果は、政治家人生における一つの区切りの気持ちがあったと推察される。問題は同党の今後だ。国際情勢がこれだけ緊迫する中で今後は諸外国とも直接交渉できる能力をもつ代表が求められる。その時代に、安倍政権下で1ミリも進まなかった政策の一群をどのように進めていくか。選択的夫婦別姓の導入一つ形にできないままでは、政治を動かすことなど到底できないだろう。むしろこれからが正念場である。