93年のカンボジア総選挙に選挙監視員として現地に赴く際、在日カンボジア人の知り合いからポルポト兵士の肉声を聞く機会があった。それによると、人間が人間に手をかける際、最初の一人を殺めるのには「怖い」という感情がある。だがそれも数人を過ぎると、逆に殺すことが快感となり、止められなくなるとの言葉だった。同じことはかつて中国大陸を侵略し、多くの婦女を強姦し、住民を殺した旧日本軍も同じことだったろうと感じている。当時、南京攻略戦に参加した多くは職業軍人ではなく、一般の日本の住民男子たちだった。一般人が武装し、現地でどのような心理に至ったかは、似たようなものがあったはずだ。現在、国際刑事裁判所から逮捕状を発付されているイスラエルの政治指導者ネタニヤフ首相は、罪のない人びとを今も殺しつづけている。楽しくて止められないのだろう。だが国際社会にはそれをやめさせる明確な方途が存在しない。世界はすでに「法治国家」ではなく、弱肉強食の世界となっている。彼らはかつてナチスドイツから受けた仕打ちを、他民族に転嫁しているかのようだ。