世間の常識との乖離

「性加害は今や、普通の不祥事とはレベルが違う問題なのです。放置すればブランドには致命傷となり、会社がつぶれることもあり得ます」。昨日付の毎日夕刊で危機管理コンサルタントがフジテレビ問題について答えていた。世間の常識と会社の常識に乖離が生まれている現象を指しているが、この問題はそのまま政治の世界にも当てはまる。通常国会の予算審議に入るに際し、野党側は前提条件として旧安倍派会計責任者の参考人招致を求め、公明党は採決する場合は「賛成」に回ることを自民党に通知したことで話題になった。本日採決される予定というが、全会一致が原則の参考人招致に対し「採決」で決めるのは異例という。可決される見通しとも報じられているが、問題はその先だ。本人が出席する意思がないことを匂わせており、さらに自民党サイドも(1)民間人であること(2)すでに裁判で証言し判決が出ていることを理由に拒否する構えだ。だがこれらの理由は国民・有権者の意識とは見事に“乖離”している。例え現在、民間人であったとしても政党という公の仕事に携わった時代の行動についてはアカウンタビリティ(説明責任)は当然ながら残っている。それは国民・有権者に対する「義務」ともいえる。さらに刑事裁判で証言した内容と異なることを国会で述べると偽証罪に問われかねないなどの懸念なのだろうが、それも言い訳の理由にはならない。事実をそのまま話すことが真相解明につながるからだ。元会計責任者は安倍派のパーティー券販売のノルマ超過分の還流再開について、法廷で「2022年8月に派閥幹部4人が協議して再開が決まった」と明かしたといい、その4人は政倫審では関与を否定し、証言が真っ向から食い違う結果となったままだ。ウミは全く出されていないというのが国民・有権者側の率直な認識だろう。このような“乖離”を放置すれば、自民党はフジテレビと同じ運命になりかねない。

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