岡本政調会長の使命

個人的な話になるが、私は1965年1月に生を受けた。同じ月、池田会長(当時)は、『人間革命』という大型連載小説の発表を始める。最初の原稿をその前月の12月2日、沖縄で書いた。公明党が結党されたのはまさにこの時期で、直前の11月17日、東京で結党大会が開かれる。そのため私の年齢はそのまま結党後の公明党の年輪と重なる。以来60年。岡本三成政調会長もたまたま同じ年に同じ地方で生まれている。そのため同氏もまた、党結党の歴史と年輪を同じく生きてきた。政治家にとって60歳は決して若いとはいえない年齢だ。現在、党首落選のハプニングにより新代表選出の新聞報道が本日付から噴出している状況だが、新聞報道では「斉藤鉄夫国交相を軸に検討」「岡本政調会長を推す案もある」(毎日)といったものが多い。読売だけが2人に加え、山口前代表の再登板という案を加えた3パターンを報じている。いずれも一長一短があり、安定感で選ぶか、刷新感で選ぶかで結果が分かれるといった解説である。本日付の毎日に顔出しで登場した漆原良夫元国対委員長は、自分たちの世代の経験を紹介しながら、「目先の安定感にとらわれず、新鮮さがある人が後任にふさわしいのではないか」と述べた。事実上の〝岡本押し〟と言ってよいだろう。読売報道によると、同政調会長の懸念は「党務経験の不足」ということにあるようだが、これはむしろ本人の責任というより、将来を見据えて早めに執行部入りさせておかなかった前執行部側の過失でしかない。また仮にそうであっても力ある幹事長らがいれば、当面の間、党務の後支えは可能なはずだ。刷新感を選ぶか、安定感を選ぶか。時代は刷新感を望んでいると感じるが、同政調会長に安定感がないと決めつけるのも大きな間違いだろう。やってみなければわからないというのが正直なところのはずだ。何より時代が求めているのは世界の安定である。諸外国のキーパーソンと直接会って渡り合うには、同氏はむしろ政党のトップであるほうが望ましいと愚考する。「世界平和」の実現こそが世界に求められている最も肝要な事柄だからだ。「平和立国」の第一人者として存分に働いてもらいたい。私が同氏に期待してきたことはそのことである。

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