村上誠一郎と村上国治

石破内閣の閣僚を務める村上誠一郎総務相は安倍国葬において安倍元首相を「国賊」と発言したことで問題となった人だが、もともと四国の村上水軍の末裔であることを公言している。私が昨年末に上梓した『実録・白鳥事件』の主人公は被害者の白鳥一雄警部と加害者側の村上国治の2人だが、村上国治も両親は四国の出身で、村上水軍の末裔の言い伝えがある。そういう意味では2人は“遠い親戚”の可能性があるが、その生き方も似通った面を感じさせる。村上国治は北海道の開拓者家族の息子として生まれ、苦労して親を助け、社会正義の実現のために戦後の日本共産党に入党した。そのまま武装闘争時代に突入し、同党のいうがままに警察官殺しを首謀して懲役20年の刑を受けたことで知られるが、自らの信念に徹して動じなかった生き方は、村上大臣の行動ともダブって見える。とはいえ、村上国治も違う時代に生きていれば、日本共産党に入党することもなかったはずだ(そのことは上記の書籍の中でも触れている)。その意味では一人の人物が生まれ合わせる「時代」は、その人物の運命と密接にからみ合っていて切り離せない。人間は「時代」と無関係には生きられない存在とも規定できる。

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