この3年間の岸田政権の評価については肯定・否定の立場ともいろいろ言うことがあると思うが、ひとつは安倍政治の遺産をさまざま実行したことだろう。これは褒めているわけではない。安倍首相のままだったら反対が強くて実行できなかったと思われる「防衛費2倍増」を実行し(財源問題は解決していない)、殺傷兵器の武器輸出に先鞭をつけ、現在は憲法改正にやる気を見せることで保守派(実態は「極右」)の支持つなぎとめに躍起になっているように見える。要するに安倍政治の「おさがり」に頼っている姿であり、何らその域を出ていない。それでこの国の国民市民が幸せになればいいが、実態は戦争準備が水面下で着々と進んでいるだけで、大きな災厄となって跳ね返ることを私は危惧する。結局は自身の権力維持のための「おさがり」利用であり、それ自体が自己目的化しているようにさえ見える。次の自民党総裁はだれが総裁になるにせよ、この10年の安倍政治からの脱却が一つの争点となるべきだろう。