日本社会の最大のマイノリティ

朝ドラの「虎に翼」が好評だ。特に女性の中に自身の体験の上から強い共感をもつ人がいるようだ。女性にまだ参政権すらなかった戦前の時代に、初の女性弁護士となる女性を主人公とした物語だが、俳優陣の好演ぶりと脚本の秀逸さが評判の原因ではないかと個人的に感じる。このドラマとも共通するが、“最大のマイノリティは女性”とのフレーズを耳にしたのは最近取材したある場所でのことだった。日本で外国人やLGBTなど多くのマイノリティが存在するなかで、その「最大」のものは女性の括りであるという指摘だった。当然ながらマイノリティが排除されたり虐げられたりするような社会は健全な社会とはいいがたい。その意味で、女性がその社会でどのように扱われているかは、その社会の健全度、人権意識の有効なバロメーターとなりうることは言うまでもない。日本のジェンダーバランスが世界の「底辺」レベルにあることはすでに広く知られている。その要因として、ひとつは安倍一強時代に実質的な改善の方向性がなかったこと、その結果、ジェンダーバランスを改善するための多くの政策課題が取り残されたままとなっていることが指摘できる。かつそのことが現在の少子化問題が本質的に解決されない主たる要因ともなっている。外国人から見れば、日本は依然として“精神的に閉ざされた国”のままであり、今国会で審議されている税金や社会保険料を支払わない永住外国人から永住資格を取り上げる新たな立法案が審議されている事実はその典型ともいえる。政府提出の改正法案(閣法)に、与党の公明党がきちんと歯止めをかけなかった責任は大きい。

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