岸田内閣が発足して2年がすぎる。この政権は自分のなしえたいものがはっきりしないという声がよく聞かれる。状況追随型の首相であり、すべて安倍時代の路線を踏襲した範疇の政策でしかないとの指摘も多い。そのうち、少子化対策と防衛力強化は岸田内閣の重点政策のはずだが、いずれも打ち上げ花火は放ったものの、裏付けとなる財源は依然「先送り」したままで、「課題先送り内閣」の声も聞こえてくる。このままではなんら結果を残さないまま、政権を終える事態もありうる。次の首相は、もっと大変な状況で仕事を引き受けることになる。国民の税金を使って、何事もなしえないとすれば、それは無能の極みだ。プライオリティとして、国家的に最も緊急性の高い内政上の課題は、やはり少子化対策だろう。第2次安倍政権は7年8カ月続いたが、これも目先の政策に終始した結果か、いまでは日本国内における食糧安全保障の危機が指摘されるようになり、農家の減少によってコメ生産高が需要を下回り、北朝鮮なみの食料危機が指摘されるようにすらなっている。政治に「先見の明」がなかったことの証左だ。政治の効果は後の世代になって現れる。野球に例えれば、送りバントよろしく、1つの政権で確実に一つの国家課題を解決する方向で取り組むくらいの「集中力」が必要ではないか。