東村山の構図22  デマの囚われ人

安倍元首相を殺したのは山上ではないという都市伝説が広がっている。広げているのが一般人でなく、「ジャーナリスト」や学識者を称する者たちであることがこれまでと異なる特徴だ。その内容はあの角度では山上の発砲した銃弾が元首相の首に当たることはありえず、別に共犯者がいて、その共犯者がビルの上のほうからタイミングを合わせて銃を撃ったというものだ。実にばかばかしい。だれが何のためにそんなことをするのか。奈良県警や関係機関の情報開示ぶりがあまりにも不十分であることなどを背景として出てきた「妄想」の類いといえよう。だが東村山デマ事件も、当初はそうした情報不足の中から出てきた同レベルの「妄想」にすぎなかった。当然ながら一定の客観性を求められる「法廷」の場では、そうした妄想は通用せず、それらの主張が真実であるという立証はまったくなされないままで終わって久しい。今ではまともな論者ならば、だれもこのデマには見向きもしない。たまにたぼらかされるのは、事件そのものをまったく知らない若い世代や、特定の意図をもつ特殊な人間だけである。だが当事者そのものである朝木直子(東村山市議)は、別の意図からこの陰謀論をいまも堅持する。仮にこのデマを手放せば、これまでの自身の政治的行動をすべて放り投げることにつながりかねない。その行動は自己否定そのものであり、その結果、このデマから逃れられないジレンマの中にあるようだ。いうなれば「陰謀論の囚人」であり、「デマの囚われ人」である。

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