「軍鶏」感覚の産経記者

産経新聞の阿比留瑠偉記者といえば、安倍元首相に心の底からべったりで、元首相に批判的な視点をもたない陣笠記者として知られる。本日付の産経コラムに同記者が次のように書いていた。「政治家の最も重要な責務は、国民の生命、財産、自由を守ることである」。それはその通りだろう。だがそれに続く次の一文はにわかに同意できない。「ならば最優先課題は、安全保障にほかならない」。ここで同記者が述べる「安全保障」は防衛問題に限られるように見えるが、いうまでもなく安全保障は小さな次元にとどまらない。食糧、経済、環境すべてがその範疇にある。むしろいま世界で喫緊の問題となっているのは気候変動のほうであり、このまま手をこまねいていれば「地球号」そのものが沈没しかねない状況下にある。それでいて、身近な隣国同士でまるで軍鶏(しゃも)か闘犬のような感覚で向き合っている前提で物事を論じれば、その世界から抜け出ることはできない。大国が考えるべきはより大きな「地球号」の問題にどう取り組むかであり、小国にすぎない日本が中途半端な武力を国民の犠牲を強いて増強して大国に対抗することではない。軍鶏の喧嘩の真似事をしているうちに、地球は滅ぶ。そのことによる国民の生命、財産の「破壊」のほうが実はずっと高くつくと思われてならない。

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