大日本帝国主義者たちの暗躍

毎月1回おどろおどろしい雑誌広告が新聞に載るようになって20年近くになる。最近は月刊「Hanada」、月刊「WiLL」が競うように広告を出すので相乗効果も生み出しているようだ。表向きは右派論壇誌などと言っているが、実態は靖國プロパガンダを金儲けの道具に手段化した内容にすぎない。要するに、大日本帝国よもう一度という夢想的願望をもとにした思想であり、それはそのまま日本の戦後体制を否定する言説に行きつく。新聞では産経新聞が同じく愛国主義を商売のネタにしてきた。これらを総称して私は「愛国商売」と名づけているが、本日付の読売新聞では『ハト派の嘘』というタイトルの新刊書籍が大きく広告掲載されていた。著者は「南京虐殺は濡れ衣」などの主張でお馴染みの“妄想ジャーナリスト”櫻井よしこほか。彼女は大日本帝国主義者の筆頭格ともいえる女性だ。これらはいずれも一種の懐古主義の次元を抜け出ることはない。現状への不満を、過去の一時代をクローズアップして美化することで、そこに戻れと「運動」する。そうした行動そのものに生きがいを求めているようにも見える。それらに国際的な普遍性といったものは存在せず、日本民族は素晴らしいという一国主義の典型だ。愛国主義は古代宗教のようなものと達観したのは歴史学者のトインビー博士だったが、古代から連綿と続く「熱病」が、今この国を覆っている。そのことへの認識が一般世間ではほとんど薄い。

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