シンガポール首相のことば

本日付産経にワシントン駐在の古森義久客員特派員が「中国の核威嚇に現実味」と題するコラムを書いていた。それによると中国が今回のウクライナ侵攻でロシアから学んだものは核威嚇の効果であり、中国の台湾有事の際は「核恫喝は日本にも向けられる」旨を記載している。その上で「日本は明白で目前の危機となりつつある核の脅威にどう対するのだろう」などとまるで他人事のように書き飛ばしている。だからこそ心ある識者は、米国に戦争介入させず、中国にも武力侵攻を思いとどまらせるために日本が率先して前面に出て外交努力を続けるべきと主張している。本日付の日本経済新聞では、シンガポールのリー・シェンロン首相がウクライナ問題に寄せて、ロシアのウクライナ侵攻の教訓が「台湾海峡の問題でも熟考されることを望む」と述べている。その上で、「重要なのは各国が国連や世界貿易機関といった国際的な枠組みを支持することだ。国際機関がなければ無法な弱肉強食の世界になってしまう。弱い国が苦しむだけでなく、強国も戦闘で貴重なエネルギーを無駄遣いすることになる」と述べている。常識論であり卓見だ。さらにこうも述べる。「台湾問題は非常に複雑な問題だ。ウクライナ問題の一つの結論は、紛争を始めるのは簡単だが、結末を予想するのは極めて難しいということだ。仮に戦争に勝っても、その代価は甚大だ。台湾海峡でもこれらの教訓が熟考され、当事者の国・地域が慎重かつ平和裏に対処することを望んでいる」。まさしく日本政府が発信すべきメッセージであろう。

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