事実とプロパガンダ

土曜日のTBS報道特集でロシアのガルージン駐日大使がインタビューに応じていた。そこでガルージン氏はロシアの正当性を真っ向から主張し、民間人虐殺がウクライナによる自作自演であることを訴えた。さすがにその場でインタビューしていた記者は愕然としたのか、反論を試みようとしたが、水と油の関係で終わった。いま日本国内のネット世論では、ロシアに肩入れする内容も一定程度見受けられる。ロシアの開戦を誘発したのはウクライナ側であるという立場からのもののようだが、ロシア叩きの報道は西側の一面的なものだという主張もしばしばなされる。いずれにせよ、多くの民間人に犠牲者が出ていることは疑いようがない。その犠牲者のすべて、あるいは多くがウクライナ側による「自作自演」というロシア側の主張を容認する人がいるのは信じられない。仮にごく一部にそうした事例があったとしても、すべての事実がオセロゲームのように塗り替わるわけではない。常識で考えればわかることが、感情が入れ込みすぎると正常に判断できなくなるということだろう。メディアリテラシーは人間洞察力と比例する。報道特集の編集に何ら問題は感じなかった。ガルージン氏の言い分は視聴者にわかるように取り上げられていたし、最初から意図のある主張を延々と垂れ流す義務は番組側にはない。

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