人は高い地位に立てば立つほど、大きな権限をもてばもつほど謙虚さを求められる。言葉をかえれば公平性を求められるということだ。日本の最高権力者である総理大臣は、その最たる存在といえよう。だがその立場にあって、自分の知り合いや友達ばかりを優遇した事態が発覚すればそれが問題となることはいうまでもない。近年の日本政治史でそうした行為が露骨に表れた最たる人物が安倍晋三元首相ということになる。森友、加計学園、桜を見る会、いずれも身内や仲間内の優遇姿勢が招いた結果だった。問題はほかにも同様の事例がいくつも残っていることだ。一つは、泥酔状態にあった若い女性を自分の宿泊するホテルに連れて行き、同意のないまま性的関係をもち、問題となっている男性の件だ。女性側が刑事告訴し、逮捕直前に執行停止されたとしている。この男性は安倍元首相を持ち上げる書籍の著者だった。二番目もある女性ジャーナリストの事例。慰安婦問題で取材もしないままいい加減な記事を垂れ流し、名誉毀損提訴されたが、真実相当性が認められ、無罪放免となった。業界では驚きをもって捉えられた。というのも記者が真実と異なることを書いた場合、真実相当性で違法性を阻却されるには、最低限、相手方に取材している要件が必要となる不文律があったからだ。この女性は相手に何ら取材を行っていない。これも女性が強力なアベトモであったことを裁判所が「忖度」した結果と見る向きがある。三番目にこれも男性ジャーナリストの事例だ。多くのノンフィクションを書いた中で、出典を明示せず、都合よく元の文章をコピー&ペーストして自分の作品に取り込んだ大量盗用疑惑を指摘されてきた人物だ。よりささいなケースで新聞記者が停職処分となったり、著書が発禁となっているにもかかわらず、その数十倍の大量盗用をしてきた人物が今ものうのうと仕事を続けている。これもアベトモ効果と見るのは穿ちすぎだろうか。