日本の対中「参戦」を煽る安倍元首相

第2次安倍政権の一つの特徴は防衛予算を毎年増額してきた軍事拡大政権であったという歴然たる事実だろう。その象徴として安保法制は位置づけられる。その結果、自衛隊と米軍の一体化は近年急速に進み、現状では日本周辺で有事が起きた際に米軍が出動する場合は、いやおうなく自衛隊が同伴する仕組みができているとされる。目下の問題として懸念されているのが、中国が武力で台湾を併合しようとする「台湾有事」だ。これに関し、「台湾有事は日本有事」と最近になって発信したのが安倍元首相だ。平たくいえば、台湾有事の際は自衛隊は米軍と共に中国相手に「参戦」することを促す言葉といえる。戦後75年以上すぎ、首相経験者が日本の戦争参加を公に口にしだしたという点で、特筆すべき事態だと感じる。日本はとうとう、昭和の教訓をかなぐり捨て、ここまで来てしまったという印象を強く持つ。公明党が選挙協力において、自民党議員を一律に推薦するのではなく、人物本位で判断する旨を強調しだした背景にこうした問題が横たわっているかどうか計りかねるが、今後数年の政治のかじ取りを間違えば、悲惨な結果が生じかねない。すでにその兆候は日本社会の随所に見える。

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