中国がかつての旧日本軍のように攻めてくるとの妄想

中国の行動を批判する世論がかまびすしい。公明党に対しては、なぜ中国を叩くための行動の足を引っ張るのかといった主に極右側からの批判がそのまま自民党内に伝播し、歴史的に中国と親密な関係をもつ公明党が窮地に立っているといった記事が大手紙に掲載されていた。この問題は大局的視点にたって考えないと、道を誤りかねない重要な問題に思える。

中国がウイグル民族に行っていると伝えられる行動に関する証言や物事は一定程度事実と思われる。国際人権団体がその行為を指して「人道に対する罪」と評したのはその通りで、平たくいえば、人間として他者に行ってはならない行動に中国は手を染めている。ただしそれがアメリカの主張するような「ジェノサイド」という言葉で表現していいものかどうかは全くの別問題だ。事実的根拠も伴わないで決めつける行動は、例えば、イラクに大量破壊兵器があると主張して武力行使した米英の轍をそのまま繰り返すことになりかねない。こういうときこそ、ジャーナリストは「事実」(ファクト)に則して言葉を選ぶべきであろう。実際、アメリカの主張を鵜呑みにして「ジェノサイド」を強調している面々を見ると、先のアメリカ大統領選挙でも、事実的裏付けをもたないまま一方的に妄想を広げた人間が多く見られる。彼らの一部である極右の人間にとって、中国はかつての旧日本軍が無法に侵略し、その恨みを中国側がもっているという観念に凝り固まっているようだ。事実、そのような側面があったにしても、時代は大きく異なる。中国がかつての旧日本軍のような形で日本に攻め入るとなれば、それはそのまま戦争である。中国側も「無傷」ではいられない。多くの人民が死ぬことになるだろう。中国外交当局がそこまでバカとも私には思えない。だが現状を見ていると、日本の極右はいつもながらに「煽る」ことに一生懸命で、それらがすべて事実に即した行動とはとうてい思えない面がある。

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