トランプ大統領の残した大きな功績は「ウソ」の浸透だ。民主主義の基盤を大きく毀損した。事実を基に政治を行うのではなく、願望をもとに政治を行った。その悪影響は米国内に深く浸透し、さらには海をへだてて日本にも到着している。
トランプ政治のキーワードは「分断」「煽動」「憎悪」の3つに集約される。大衆煽動の基本方式を地で行くもので、感情を伴う働きかけは現実に人間を動かす。この方式を日本の言論人でいち早く取り入れた一人が、ジャーナリストを称する門田某といえる。
中国、韓国、朝日、毎日、野党、公明党を「敵」と認定し、憎悪を煽る。裏を返せば、自分が「善なる存在」「正しい主張を行う者」と主張しているわけであり、それにより、同調者(支持者やフォロワー)の獲得に結びつける。トランプは同じ手法で支持者(選挙の際の票)を獲得したのと同様だ。だがそれらの根本にあるのは、事実に基づかない主張を多く含むことであり、政治の基本操作からはほど遠い。かつてもドイツのヒトラーが同じような手法をとったが、それが時代をへだてて繰り返されているにすぎない。
だが政治だけでなく、手法をまねた言論人がいるというのは、どうしたことか。こんな人物に限って、ファクトが大事などと口先だけで叫ぶので、その構図はさらにわかりやすい。
こうした“ミニ煽動者”が、日本という民主主義社会の中でいつまで活動をつづけられるか、日本社会の健全度を示すバロメーターとなるはずだ。