産経と赤旗が取り上げた映画

本日付で対照的な新聞が同じ映画について取り扱っていた。一つは産経だ。文化欄で『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』という映画について紹介していた。これは1905年生まれで1935年に死去する英国人ジャーナリストが当時のソ連に飛び込み、数百万人のウクライナ人が餓死した大飢饉の惨状に接する。大国の真実に一人のジャーナリストが命がけで挑んだ物語という。一方、しんぶん赤旗の日曜版(9日・16日合併号)でも同じ映画を取り扱っている。ソ連はけしからんというわけだが、実はこの大飢饉が起きたのは1932~33年のことで、日本共産党が創設されてまだ10年程度の時期だ。同党は1922年の創設から少なくとも66年までは、ソ連を理想の天国のように描いて社会主義を煽った過去がある。だがそうした行動を総括することなく、いまではそうした事実すらなかったかのようにソ連批判の材料として映画を扱っている。右派の歴史修正主義はどうしようもないものだが、一方で共産党のこうした自党の事実隠蔽行為も似たようなレベルだ。歴史の事実から目を背け、「自分の見たい歴史」を好きなように見ているにすぎない行為は、左右ともに共通する姿だ。

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