日本マンセー教

この10数年、日本社会で広がった宗教現象をタイトルのように呼ぶとする。この宗教の教義は極めてシンプルだ。「日本は素晴らしい」「日本人は優れている」と声高に叫ぶ。その前提には、韓国人よりも、中国人よりもといったかっこ書きが含まれる。これらの教義から生まれる帰結として、日本が過去の戦争で行った野蛮な行為なども、認めたくないという心情が強く働く。だから上記の信徒がことさら問題にするのが、「南京大虐殺」であり「慰安婦問題」となる。これらの信者らはファクト(事実)はどうでもよいようで、「南京虐殺はなかった」などの荒唐無稽な言説が縦横に行きかう。この偏頗な宗教を広める上で有力な啓発媒体となっているのが、月刊誌『WiLL』や『Hanada』さらに『正論』である。新聞では産経新聞などがあてはまる。こうした一時的な現象に乗るちゃっかり者の言論人もいる。だが彼らの著作や作品を読んでみれば、ファクト感覚でいえばお粗末なものが多い。ひとたび冷静になって考えてみればよい。「日本はすばらしい」「日本人はすばらしい」。この言説自体、客観的事実とはいえない。日本人の中に素晴らしい人間がいることを否定する者ではないが、当然ながらそうでない人間もいる。それは韓国人、中国人においても同様だろう。考えれば自明のことが、これらの信者には通用しない。いうなれば「狂信」の徒に近い存在が日本で増殖中だ。

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