排外主義風潮をつくった政権が、外国人の受け入れ拡大へ

「外国人、単純労働に門戸」(日経)、「新たな在留資格」(毎日)、「在留資格 期限撤廃」(読売)というように、外国人労働者の受入れ緩和方針のニュースが一斉に報じられている。国内において就業人口が足りなくなることはずいぶん前から分かり切っていた話で、もっと早く対処すべきたったが、「後手」に回った政策の最たるものだろう。

外国人を受け入れる以上は、日本社会に外国人を「統合」する政策が必要になる。日本社会の中に異なる階層(グループ)をつくられ、社会を混乱させる元になっては困るからだ。

そうした先行きを見込んで、統合政策の一部として、外国人地方参政権の導入は20世紀末から一部政党において提唱されてきたが、この政策を「敵視」し、つぶすことに躍起になってきた人びとが安倍政権の中枢にいることは皮肉な話だ。要するに、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもので、政策的にはあまりにチグハグだ。

ヘイト・スピーチがあふれ返る温床をつくったことと安倍政権の成立・存続はけっして無関係ではない。そうした排外主義的風潮と、外国人の受入れ拡大の方針は、当然ながら調和するものではない。外国人を受け入れる以上は、異文化を認め、同じ人間として協調できる「土壌」をつくることに腐心しなければ、今後、この国は混乱するばかりだろう。そうした土壌のないまま外国人を受け入れれば、他の先進国と同じ二の舞になりかねない。

 

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