公明党の最大の弱点は何かと問われれば私は迷わず「世論」と答える。目前の選挙勝利が最優先課題でありつづける構造下にあるため、政党として本来打ち立てたはずの原点や理念より、世論迎合を優先してしまう体質があることを指す。世論は常に正しいとは限らない。むしろ間違っていることも、歴史的にみれば数多い。今回の問題でいえば、本来、存立危機事態の概念をひねり出したのは公明党のはずで、集団的自衛権を自在に行使できないようにタガをはめたと最初は誇っていたはずの同党が、いいように拡大解釈し国会答弁してしまう好戦的な首相が出ても、明確に釘を指さない。その背景には「中国の代弁者」とみなされて世論から叩かれかねないとの恐怖があると感じている。そのバランスのもとで、苦しい道を探しているように見える。本来的に今回の首相発言は、多くの問題点を含む。現状では台湾も米国も求めていないものを、プライドだけが高い時の首相が勝手な解釈を世界中に発信し、「日本が先頭を切って緊張を拡大」(11月19日付朝日夕刊)する現状だ。日本という国家そのものが危機の「元凶」となっている。その状況をこそきちんと指摘しなければならない。
