『創価学会・公明党の研究』を読む

月刊誌「世界」の連載中は熟読したが単行本になって積ん読になっていた中野潤氏の著作を読んだ。緻密に取材し、創価学会・公明党の裏面史を活字化した貴重な記録といえる。すでに10年以上前から、現在の連立離脱に向けてさまざまな議論がなされていたことがよくわかる。本書に目を通して驚かされるのは、教団の選挙至上主義ともいうべき特徴的な体質をきちんととらまえ、さらに将来の道筋についても具体的に予見していることだ。その予見の正確さに、読者は改めて驚かされるだろう。2016年に発刊された書籍であり、2015年11月の「政変」(正木理事長更迭事件)についても記述がある。時期的な事情から推測が書かれているだけで、真相が書かれていない難点はあるが、それを除いても著者の綿密な仕事ぶりには圧倒される。執筆名はペンネームと思われるが、優秀な記者による創価学会・公明党を上層部の視点から描いた唯一の書籍だ。

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