本日付日経1面トップ記事によると、高市内閣の支持率は74%で歴代内閣の中でも相当に高い。“パンケーキ首相”で売り出した菅義偉内閣と同じ数字で、政権交代後の鳩山内閣より1%低い程度だ。その要因は、日本の憲政史上初めての女性総理ということによる新鮮さとともに、高市首相のメリハリのある政策の打ち出しや受け答えが優柔不断型の石破前首相と比較して一層鮮明に映ることがあるものと思われる。外交デビューもまだ果たしたばかりで、日本の有権者は表面的な見映えに好意的に反応している段階にすぎないが、打ち出された政策の内容に目を凝らしてみると、軍拡と弱者踏みつけ、戦前回帰型の思想が色濃く反映されていることがわかる。スタートダッシュはまずますとしても、どの道、この内閣は極めて不安定な基盤の上にしかない。維新が「もうやめた」といえば、その瞬間に“崩壊”が決定された内閣にすぎないからだ。「早苗さんご愁傷様」という言葉しか私にはない。振り返れば、衆参でいまだ過半数を占めていた2024年総裁選で勝ち抜けなかったことがすべてのつまづきだった。政権が“死に体”となっている段階で登場しても、「時」を得ていなかったというほかない。政治は時に右に振れ、さらに左に振れるといった振り子のような面がある。いまは右に振れている状況だが、いずれは左に振れ戻るときが必ずくる。大事なことは、この国を戦争に巻き込まないという一点に尽きる。
