一般人でこの役所について、身近な市役所などと同列の役所と勘違いしている人が多いのは一面的には致し方ない。日本人の全員が接点をもつ役所ではないからだ。むしろ関わる日本人は少数だろう。入管庁は、戦後の組織編制において、外事警察という戦前・戦中の特高警察の一種の流れを含み、外国人政策において外国人をモノ扱いしてきた“特異な役所”として位置づけられる。入国警備官がしばしば収容中の外国人に集団暴力を働くほか、衰弱死させることも平気だ。近年も名古屋入管でスリランカ人女性が死亡したが、これは入管庁が外国人を同じ人間として扱わず、現在もモノ扱いしている証明といえる。政治が行うべきは、この役所の構成員らに、内外人平等の精神性を叩き込むことであり、体質改善こそが急務だ。10月20日の右派集会で日本会議の谷口智彦会長は入国警備官を自衛隊員と同列に持ち上げていたが、現実をわかっていない非取材者の典型の姿に思えた。現実が正しく見えていない人間に、正しい政策を行えるはずがない。公明党が「共生社会」構築を目指すのなら、まずは入管庁の体質改善にメスを入れることは不可欠だ。その視点を欠いた政策は画竜点睛を欠く。
