ラベンダーの思い出

3年前の7月8日、私は白鳥事件の取材で旭川市のホテルにいた。チェックアウトの11時ぎりぎりまで唱題し、レンタカーで旭川空港に向かった。途中、富良野方向への矢印を見て、ラベンダーの季節なのだなと悟った。北海道の取材を重ねて、このとき車の中から見た田園風景がとても美しく、見とれるような光景だった。空港のレンタカー店に車両を返し、そのまま配送の車で空港に向かった。空港ビルの2階で食事をしようと椅子に腰かけた時、“安倍首相撃たれる”の報がスマホに流れた。思わずのけぞったのを覚えている。11時30分の時点ですでに元首相は“不帰の人”となっていた。ただしさまざまな経過が判明していくのはその後のことである。白鳥事件は日本共産党が組織的に白鳥警部を殺害した事件として知られ、2発の銃弾のうち1発があたり、本人が絶命した。安倍首相の状況も同じだったので、身震いした。白鳥事件を取材した最後の北海道取材の帰り、この世紀の事件に遭遇したことは今も忘れられない。この事実は日の目を見ることのなかった拙著『実録・白鳥事件』のエピローグに書き記している。あれから3年――。世間はあのときと同じ、参院選の最中である。

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