週刊新潮時代に多くの捏造やデマ記事で断罪され続けて会社を飛び出した門田隆将(本名・門脇護)という人間がいる。独立後まもなくはまともにノンフィクション作品を書いていたように見えたが、いまではアジテーター、平たくいえば扇動家としての働きを顕著にして久しい。彼のX(旧ツイッター)は50万規模なので、一度発信すればそれが「犬笛」として作用する。本人も面白くてしようがないのだろう。事実的根拠の乏しい情報をしばしば拡散し、すでに世の中を混乱させる「元凶」ともいえる存在だ。この人物が「公明党が外国人優遇している」などのデマを巻き散らかした発信源の一人で、特に中国と公明党の歴史的関係を用いて「媚中」などと批判してきた。彼にとっては大衆の憎悪感情に火をつけ、自分に注目が集まるように仕向ければ、自身の商売価値が上がるのでそれでいいのだろうが、日本社会全体からすれば、冷静さを欠いたレッテル貼りばかりが横行し、大衆が正常な判断ができなくなる原因となってしまう。この種のインフルエンサーがいまは大流行だ。政党でいえば日本保守党、参政党などだが、地方議員にもヘイトを売り物にすれば票が集まる風潮にのって著名なヘイト議員が存在する。要するに日本社会に住む住民にとって大事なことは、このような自らの商売のために排外主義を煽っている輩の言説に乗せられないようにすべきということだ。大事なことは冷静な判断と大所高所からの議論であり、「憎悪」ばかりを煽りつづけるこの種の人間たちを放置することこそ悪につながる。いま人類が問われているのは自らの「憎悪」感情をコントロールできるかどうか、そのような社会であるかどうかの瀬戸際というべき局面であり、“犬笛屋たち”の対極の存在こそが求められる。