「嘘つき」と暴力

大谷選手の大リーグ200号ホームランの日に起きたトランプ前大統領の銃撃事件。速報コメントしたTBS番組がトランプへの気遣いの言葉より先に今後の政治的影響に言及したことに「それでも日本人か」と罵倒するコメントがSNS上で散見された。私からすると、トランプ氏にとってそれは必然的な報いにしか見えない。なぜなら彼は複数の米国民をすでに間接的に殺害しているからだ。3年半前の2021年1月。米連邦議会に扇動された聴衆が押し入り、トランプ支持者4人を含む5人が命を落とした。あのとき、選挙結果を事実に反して覆すことを拒否したペンス副大統領は「ペンスを吊るせ(殺せ)」と怒りたける扇動群衆に発見される一歩手前だった(発見されていれば命がなかった可能性が高い)。さらにペロシ下院議長も同様の事態にあった。あのときこの2人の要人のどちらかが命を落としていれば、トランプ氏はとっくに「刑務所内」にいて、今ごろ選挙活動など行っていなかったはずである。あのときの群衆の行動を扇動したのは、まぎれもなく敗北の選挙結果を覆そうとしたトランプ氏自身だった。それはそのまま、民主主義否定の「犯罪(容疑)者」の行動にほかならなかった。実際、すでにこの件の刑事裁判は起こされ、彼は起訴されている。刑事裁判が進まないのは、彼が大統領選挙に立候補しているという特殊事情からにすぎない。今後、トランプ氏を過大ヒーロー化する風潮が強まることも予想されるが、事実関係を踏まえれば、殺害の「報い」を受けるような行動を繰り返してきたのは本人自身だ(私自身は暴力を肯定しているわけではない)。いずれまた似たような出来事が本人の身に起きるだろうと私は見ている。

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