現ロシアと神国日本の相似形

ロシアのウクライナ侵略を当初のころ、かつての旧日本軍の中国侵略と重ねて論評する言説をちらほら見かけたが、その感は一層強くなるばかりだ。昨日付東京新聞夕刊のモスクワ発記事で「ソ連は絶対的正義」「NATОは極悪非道」といったかつてのプロパガンダが紹介されていたが、これなど当時の日本の「神国日本は正義」「米英は鬼畜」としたプロパガンダと何ら変わるところがない。違うのは時代を80年ほどへだてていることにすぎない。もっとも旧日本軍は中国を侵略し、傍若無人の行動をとっただけでなく、朝鮮半島から10代の女性を騙して強制売春させた歴史さえもつから、朝鮮・中国に甚大な心理的被害を与えたことは明らかだ。同じ日の東京新聞夕刊で歴史家の保阪正康氏が「ロシアは、この戦争に勝っても負けても、ウクライナ国民から何世紀にもわたって、怨嗟と憎悪の目で見られるだろう」と書いているのは、かつて旧日本軍が中国や朝鮮に行った行為の影響と同一のものである。その結果、日韓両国はいまも徴用工問題で関係がぎくしゃくする。徴用工は日本軍用慰安婦の男性版ともいえるものであり、戦争の大きな傷跡だ。

現在の日本政府に必要なことは、日本の公立学校において、20世紀の戦争について「負の側面」をきちんと教えるという姿勢であろう。現在のロシアによる侵略行為は、かつての日本が行った行為を説明できるわかりやすい実例ともいえる。歴史教育は歴史的事実に基づき、それを将来の教訓として学ぶことに最大の意義がある。過去の歴史的事実を隠蔽する、あるいは歪曲する行為は、未来社会に何ら恩恵を及ぼさない。ネトウヨの「国賊」たるゆえんだ。

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